2004-01-01から1年間の記事一覧

「水面に映る月」(君が望む永遠)

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「ほら! 孝之急いで!!」 「……ぜはぁ……ぜはぁ……俺は、もう、だめだ」 「バカ言ってんじゃないわよ、遅れたら一生許さないんだからねっ!」 水月と孝之は走っていた。アテネ行きの飛行機の出発時間まであと少し。 絶対に遅れるわけにはいかなかった。 茜の…

「決心」(君が望む永遠)

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空はとてもきれいな青色。雲はひとつもなく、済みきっていた。 「今日は洗濯物がよく乾きそうだわ」 洗ったばかりの洗濯物を丁寧に干しながら、水月は呟いた。 天気がいいからだろうか。その声はとても弾んでいた。 「よしっ、これでラストね」 最後の洗濯物…

「那波の夏」(水月)

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水面にぼんやりと映っているのは丸い月。そう、満月だった。 空を見上げると雲はなく、星がたくさん輝き、月はくっきりと丸い。 しかし水面の月は、ちょっとしたそよ風にさえ揺らいでしまう。 そんな不安定さは、まるで、人の心のようだ、と私は思った。 ち…

「雨とことりと虹の空」(D.C.〜ダ・カーポ〜)

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窓をそっと開けると、夜の空気が部屋の中に入り込んできた。 ここ数日、昼間はとってもいいお天気で、思わず溜め息をついてしまいそうな青空。 だけど、夜になると昼間の暑さはどこへ行ってしまったのか、6月という時期にふさわ しいと思えるような、涼しく…

「水無月の雨と雪」(水月)

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ざざーん、ざざーん。 波の音。毎日のように聞いている波の音だが、決して同じものはないのだろう。 でも、毎日聞いているから。 僕は今、夢の中にいるんだって、わかっている。 ふと、視線を感じて目をそちらのほうへ向けると、そこにはひとりの少女がいた…

「花雪水月 -かせつすいげつ-」

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第1回 いつからだろうか。いつも僕の側に雪さんがいるようになったのは。 ふわっと浮かんでいるような感覚。 夢と現実の狭間があるとすれば、こんな感じなのだろうか。 意識は目覚めたいと思っているのに、身体が起きてくれない。 そんな感じ。 窓の外が明…

「雪さんのドキドキめざまし」(水月)

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ふわっと浮かんでいるような感覚。 夢と現実の狭間がこんな感じなのだろうか。 ゆうべは自分のベッドで眠ったのは覚えているし、実際に今眠っているという感覚もあ る(眠っているのにどうしてわかる、と聞かれると困るけど) かといって、夢を見ているわけ…

「あの人への想い」(君が望む永遠)

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8月27日は、私にとって、忘れられない日になりました。 3日前、夜 昼の暑さがまるで夢だったのではないかと思わせるぐらい、その日の夜は涼しかった。 まだ秋の訪れには早いはずだ。天気予報によると、明日も明後日も快晴のお天気で あることから、この…

「あの人への想い」(君が望む永遠)

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今日は朝からいいお天気でした。 お洗濯をしていると、自然に鼻歌を歌っていました。 そのことに気づいて、少し自分でも驚きました。 私、普通に笑えるんだなって。 朝ご飯を気分よく食べ終えて、時計を見ると出勤10分前。 たまには早く行くのもいいかも。…

「豆まきなんて大嫌い!」

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今年も2月3日がやってきた。 今日が何の日かは、ちっちゃい子からお年寄りまで、みんな知ってる。 そう。節分だ。 季節の分かれ目、という意味があり、立春、立夏、立秋、立冬の前日のことを示すらし い。 だから、1年に4回は節分がやってくるのだが、な…