(ぷちSS)「早起きは三文の徳 -とある生徒(いおり)の戯言目録(インデックス)-」(FORTUNE ARTERIAL)

「早起きは三文の徳、っていうことわざ、あるよね。
俺なんかは三文よりも三分眠りたいと思うんだけど、支倉君は
どうだい?」
 夏休みのとある一日の昼下がり。
 セミの声をBGMに生徒会の仕事をこなしていた孝平に、伊織が
話しかけてきた。
「そうですね。俺も三文よりも三十分のほうがうれしいです」
 書類に目を通しながら、答える孝平。
「ふうん、それなら支倉くんは三十分残業ね。そのほうが
うれしいんでしょ?」
 にこにこと(ただし、背景に炎のオーラをまといながら)
瑛里華が告げた。
 がくりとうなだれる孝平に、伊織が申し訳なさそうに、
(ただし、表情はすこぶるにこやかに)言う。
「すまないね、支倉君。俺が口を出すと句が帰ってくる
ような気がするから、ここは何も言わないでおくよ」
「「誰がうまいこと言えと!」」
 孝平と瑛里華の声がきれいに重なった。
 その様子を見ていた白は、征一郎に
「おふたりは、本当に仲がよろしいですね」
 と笑いながら話しかけ、征一郎も
「ああ」
 と短く笑いながら答えた。