桜との再会までは

「死んでも死にきれないよね! というわけで、ちゃんと宿題を片付けてから
お花見なんだからね。宿題が終わってからがお花見ですって、可愛い女の子が
言ってるでしょ?」


誰だっけ? っていうツッコミはNGです。


春らしいお天気ですね〜。
最近はあたたかくなってきたことでもあるので、風呂に入る前に少しだけ
筋トレっぽいことを。
ほら、冬だとあんまりやる気になんないんだけど、春だと薄着でも平気だし、
がんばろうって気になりませんか?
……僕だけかしら。


「それでは、恒例となりました白鳳寮主催、オークション大会を開催します」
 談話室には大勢の学生が集まっている。いつもよりも人数は多いのは気のせいでは
なく、事前に噂が流れたからだ。


「おい聞いたか。今度のオークションさ、礼拝堂の備品が出品されるらしいぞ」
「それがどうかしたのか?」
「よく考えてみろよ。あのシスター天池が使っていたかもしれないんだぞ。これは
レアな一品だと思わないのか?」
「言われてみれば……。それに、礼拝堂って事はローレル・リングでも使われていた
ってことだよな」
「ああ。ということは、あの東儀さんが使っていたって事も……」
「やあねえ、男って。でも、礼拝堂の備品ってけっこう装飾も凝ってて素敵よね」
「そうそう。アンティークにこだわるわけじゃないけど、お値打ちだったら欲しいよね。
そういうのでお茶を飲むと、なんだか味わいも違う気がするし」


 というわけで、それぞれの思惑が交じり合って、いつも以上の熱気となっていた。
「ではまず、このお皿から。少しヒビは入ってるけど、この柄とかとっても素敵だよね。
2枚セットで、500円から」


「お次はティーカップ。むむ、なんだかすごく英国風な感じが漂ってきます。これで
紅茶を飲むと、また格別なんだろうな〜。私も欲しい逸品です。これはソーサーも
つけて、200円から」


「次は、フライパンだね。最近は中華鍋とかのフライパンも多いけど、私はやっぱり
普通のが好きかな。寮ではあまり使う機会がないけど、持ってても損はないと思います。
あれ……なんだかここに凹んだような後があるけど……、もしかして、シスターが
『使った』のかな? じゃあ、800円からで」


「最後に一番の大物。どういうわけか礼拝堂から提供された安楽椅子です。ちょっと
置き場所に困るかもしれないけど、一番お値打ちな品だったりして。これであなたも
安楽椅子探偵になれる……かもしれませんよ? じゃあ、1000円から」


 結果からいうと、大盛況のうちにオークションは終幕を迎えた。
「こんなに盛り上がるなんて思わなかったね」
「ああ。ただの備品で骨董的な価値があるかどうかもわからないのに、ほとんどが
最初の設定価格より高く売れたもんな」
 お茶会でも自然とオークションの話題になった。
「でも、いいことじゃないの。使わなくなった物でも、使ってもらえる人の
ところにいけば、品物も人も嬉しいわよね」
 嬉しそうに瑛里華が言う。
「そうですね。わたしたちもお手伝いができてよかったです♪」
 白がにっこりと微笑んだ。
「それにしてもこの売り上げは予想以上なんだけど、これはどうするんだ?」
「うん。寮内で使う共用の消耗品とか、観葉植物とか。今まではそういうのに使ってた
みたい。それでもまだまだ余裕があるんだけど……」
「それじゃあ、突撃会長からひとつ提案があるんだけど、いいかしら?」


あと2日ですね。もう一息なので、最後まで気を緩めずに駆け抜けたいです。
いろいろ読みづらいとは思いますが、もうちょっとだけガマンしていただければと思います。


それでは、明日もエステルマジカルがんばります♪