もうすぐなくなる

携帯の電池の残量が少なくなると、不安になってくるのはなぜだろう。
普段は必要ないのになあ。


「こんにちは〜」
 礼拝堂の扉を開けて挨拶すると、モーリッツさんがゆっくりと出てきて
くれた。
「おや、朝霧さん。こんにちは。エステルですね?」
「ええ」
「先ほど部屋に戻ったばかりですので、どうぞお通りください」
「はい、ありがとうございます」
 俺はモーリッツさんに会釈をして、エステルさんの部屋に向かった。
 その途中で、ひとりの女の子とすれ違った。リースだ。
「こんにちは、リース」
「……こんにちは」
 簡単に挨拶だけすると、微妙な間が出来た。
「……エステルなら、部屋にいる」
「そっか。ありがと」
 俺がリースの頭をなでると、少しくすぐったそうにしていた。


「ああ、達哉でしたか。どうぞ、入ってください」
 ノックをしてからエステルさんの部屋に入ると、俺は『まめまき』に
ついて調べたことをエステルさんに話した。
 といっても、2日ほど調べた割にはたいしたことはわからなかったのだが。
「すみません、お役に立てずに」
「いえ、達哉が私のために調べてくれたことが嬉しいのです。今回は
たまたま思った成果が出なかっただけでしょう」
 エステルさんはそう言って俺をなぐさめてくれた。
「要約すると、まめまきは節分という行事の一種で、炒った大豆を撒いて
鬼を払い、年の数の豆を食べることによって健康を祈願するもの、なのですね。
邪気払いと無病息災を兼ね備えた行事である、ということがわかっただけでも
よかったです」
 エステルさんは紅茶を出して、俺を労ってくれた。


ふぅ、タイムリミットです。
あと3回ぐらいかな。なんだかこういうペースで書いているといまいち
流れがつかめませんね。
週間連載してる人ってのは、すごいなあ。