5回目のお祝い

「5回キスしたお祝いかな? それとも、5回ちゅーしたお祝いかな? それとも
それとも、5回エ……、ぷはっ。もうっ、そうやって止めるのは反則でしょ♪」


古典的な手段ですけどね(笑)。


今日は麻衣の5回目の誕生日ですね〜。
いや、5回目って書くとなんかおかしいけど、5回祝うことになるとは思いませんでした。
そもそも、発売前に書いたのは麻衣がはじめてですからね〜。
MCをまだやってないので、今年はやめておこうかなーと思いつつ、結局書いてしまいました。
何も考えずに30分。会話文ならではの内容ですが、たまにはいいかな。


それでは、明日もエステルマジカルがんばります!

(ぷちSS)「達哉と麻衣のとりとめのない日常」(夜明け前より瑠璃色な)(朝霧 麻衣)

 八月の最初の月曜の午後。朝霧達哉と朝霧麻衣は、リビングでぐったりしていた。
「暑いね〜、お兄ちゃん」
「暑いな、麻衣」
「八月だもんね」
「八月だもんな」
オーガストだもんね」
オーガストだもんな」
「麻衣ちゃん、すごく可愛いよね」
「……ぐー」
「寝ないでよっ!」
 すぱーん!
 麻衣はスリッパで達哉の頭をはたいた。
「麻衣、スリッパで殴るのはどうかと思うぞ」
「大丈夫。だって、まだ履いてないから」
「そういう問題じゃないんだが」
「……はいてないから」
「……何?」


 ……。


「それにしても暑いね〜。どうしてなんだろうね〜」
「そりゃ、エアコンがぶっ壊れたからだろうな〜」
 いつもなら静かな音で活動中のエアコン様は、今日は無音だった。性能がアップしたわ
けではなく、寿命を迎えたらしい。
「別にさ、麻衣は出かけてたっていいんだぞ。電気屋の相手は俺がするから」
 わざわざこんなに暑い家にいる必要は無い。故障したエアコンの修理、もしくは交換し
なければいけないかもしれないが、その調査のために電気屋が来てくれることになってい
るのだ。
「お姉ちゃんはお仕事。フィーナさんとミアちゃんもお仕事。だから、この家のことはわ
たしたちがやらなくちゃいけないんだよ」
「いや、だから」
「お兄ちゃんは、わたしと一緒はいやなの?」
「え?」
「お兄ちゃんがいやって言うなら、わたしは……」
「そそそ、そんなことないって! 麻衣と一緒でいやなことなんてあるもんか」
「お兄ちゃん……」
「麻衣……」
「お兄ちゃんがしたいって言うなら、わたしは……」
 すぱーん!
 達哉は新聞紙で麻衣の頭を叩いた。
「いたーい。ひどいよお兄ちゃんっ!」
「大丈夫。まだ読んでないから」
「関係ないし」


 ……。……。


「そういえばさ、風鈴ってなかった?」
「風鈴か……、ちょっと探してみるか」
 達哉と麻衣は風鈴を探しに家の中を行ったり来たりしたが、見つからなかった。
「ますます暑くなったね……」
「しょうがないよ。麻衣のせいだし」
「はっきり言われた!」


 ……。…………。


「そうだ。扇風機はあったよな、確か」
「そうだよね。でも、みんなの部屋にエアコン付いてるから、扇風機ってどこにしまった
のか全然覚えてないよ?」
「……困った妹だな」
「覚えてないお兄ちゃんには言われたくないよ!」


 ……。……。……。


「なあ、麻衣。お風呂に入ってきたらどうだ。さっぱりするぞ」
「う、うん。でも、お兄ちゃんに悪いよ」
「俺なら気にするな。麻衣が入ってから入るから」
「……お願いだから、わたしが出てから入ってね」
「気にするなって言っただろ?」
「気にするよ!」


 ……。……。


「お兄ちゃん、お風呂あいたよー」
「おう。あ、今そこにカキ氷作っておいたから、よかったら食べてくれ」
「わあ、ありがとうお兄ちゃん♪」
「実は、冷凍庫にあった麻衣のアイス食べちゃったんだけど」
「うわあん、お兄ちゃんのばかー」


 ……。


「はあっはあっ、買って来たぞ、麻衣のお気に入りのアイス」
「ありがとう、お兄ちゃん。あのね、お兄ちゃんが出かけている間に電気屋さんが来てくれ
て、エアコン直ったよ」
「そっか、これでやっと人並みの生活が送れるな」
「あ、そろそろはかないと」
「何を?」


おわり

(ぷちSS)「15日目 スコップを持って」(舞阪 美咲)

 先週まで、正確には昨日までどちらかと言えば雨寄りの天気だったのだが、今日はそん
なことあったっけ、と思えるぐらいの晴天だった。
 ちょっと寝不足ながらも、きちんと午前中の部活はこなした。
 昼飯を食べて少し昼寝したおかげで、体調は完全回復。
「若いっていいよね」
 なぜか美咲も機嫌よく笑っていた。
 それじゃ、そろそろ行くか。
 俺たちは、園芸部の花壇へ向かった。


「美咲ちゃん、雄一君。今日はどうもありがとう」
 ぺこりと頭をさげるグッさん。服装は学校指定のジャージに麦わら帽子だが、妙に似合っ
ていた。
「香奈ちゃん、今日はひとりなの。だから、わたしたちでお手伝いしようと思って」
 と美咲が言うので、俺たちは園芸部の手伝いをすることにした。
「俺、園芸のことは詳しくないから、グッさんがいろいろ指示してくれよ。力仕事なら何
でも言ってくれていいからさ」
「そうだよ。今日は香奈ちゃんに雄一のコキ使い権を貸してあげる♪」
 勝手に貸し出されても困るんだが。つーか、そんな権利を渡した覚えも売った覚えもな
いけどな。


「それじゃ、雄一君には花壇の整備をお願いします。最近、雨が降ることが多かったでしょ
う。土がこぼれたり、レンガが崩れたりしてるところがあるの」
「オッケー、じゃレンガを直して、土を整えればいいんだな?」
「うん。新しい土が必要だったら、倉庫に少しあるから言ってね?」
 そう言うと、グッさんは美咲のところに小走りで駆けて行った。


 なんというか、地味な作業ではあるんだけど、少しずつ形になっていくのが嬉しいよな。
 俺には園芸の趣味なんてなかったんだけど、こうやって実際にやってみると、意外に楽
しいことがわかる。
 よく、ひとり暮らしの人がペットを飼ったり、植物を育てているっていうけど、少しず
つ成長していくのが楽しいんだろうな。


「雄一君。ちょっと休憩にしよ?」
 グッさんが言うので、俺はスコップを下ろした。
「うわあ、かなり進んだね。すごいなあ」
「そうかな? 自分ではなかなか終わらない気分になってきたんだけど」
「そんなことないよ。私ひとりだったら、まだ全然だと思う」
 グッさんが渡してくれたお茶を、一気に俺は飲み干した。
「さっすが男の子だね♪」
 いや、お茶一気飲みぐらいで。
「そういや、美咲は?」
 キョロキョロとまわりをみても、美咲はいない。
「美咲ちゃんには、お花屋さんに行ってもらってるの」
 ま、あいつにちまちました作業は合わないからな。
「うふふ、やっぱり美咲ちゃんがいないと心配かな?」
 グッさんが笑いながらそう言った。
「まあね、あいつは何をしでかすかわからないからさ」
「そういうことにしておこうね」
 グッさんは楽しそうにそう言った。